浮気相手だけに慰謝料請求できる?相場・請求の流れ・求償権の注意点を解説|リーガルホーク探偵社
浮気相手だけに慰謝料請求できる?
相場・請求の流れ・求償権の注意点を解説
「配偶者ではなく浮気相手にだけ請求したい」というご相談は少なくありません。二重取りの禁止や求償権など、請求前に知っておくべき注意点を整理します。
公開日:2026年8月8日
「配偶者とは離婚するつもりはないが、浮気相手だけには責任を取らせたい」——このようなご相談はLegal Hawkにも数多く寄せられます。結論からいえば、浮気相手だけに慰謝料を請求することは法律上可能です。ただし、慰謝料には「二重取りの禁止」という大原則があり、さらに「求償権」という制度によって、思わぬ形で配偶者側にもお金の流れが及ぶことがあります。本記事では、浮気相手だけへの慰謝料請求の考え方、相場の基本、請求の流れ、そして請求前に必ず押さえておきたい求償権の注意点まで、実務の視点から詳しく解説します。
目次
不貞行為は配偶者と浮気相手による共同不法行為とされるため、浮気相手だけに慰謝料の全額を請求することは可能です。ただし、慰謝料を二人から二重に受け取ることはできず、また浮気相手が全額を支払った場合、その相手から配偶者へ「求償」される可能性があります。請求先を決める際は、目先の請求額だけでなく、最終的に家庭にどのようなお金の流れが生じるかまで見据えることが重要です。
浮気相手だけに慰謝料請求できるのか
配偶者の不貞行為が発覚したとき、多くの方がまず考えるのは「配偶者と浮気相手のどちらに責任を取らせるべきか」という点です。特に、離婚は望んでおらず夫婦関係を継続したい場合、「配偶者を追い詰めたくはないが、浮気相手には相応の責任を取ってほしい」という感情を抱く方は少なくありません。
浮気相手のみへの請求は法律上認められている
結論として、浮気相手だけを対象に慰謝料を請求することは法律上問題なく可能です。慰謝料請求権は被害を受けた配偶者に発生する権利であり、その請求先を配偶者・浮気相手のどちらか一方にするか、双方にするかは、請求する側が選択できます。
「配偶者には請求しない」という選択もできる
離婚をせず夫婦関係を継続する場合、配偶者に対して法的な請求をせず、浮気相手にのみ請求するという方針を取るケースは実務上も多く見られます。夫婦関係の修復を優先しつつ、不貞行為に関与した第三者にはけじめをつけてもらう、という考え方です。
請求できることと「思い通りの結果になるか」は別問題
ただし、請求できることと、その請求が精神的にも金銭的にも望んだ結果につながるかは別の問題です。次章以降で解説する「二重取りの禁止」や「求償権」を理解しないまま進めると、想定外の展開になることがあります。
なぜ浮気相手だけへの請求が認められるのか
浮気相手だけに慰謝料を請求できる根拠は、不貞行為が法律上「共同不法行為」として扱われる点にあります。
不貞行為は配偶者と浮気相手による共同不法行為
不貞行為による慰謝料は、浮気をした配偶者と浮気相手の2人の行為によって受けた精神的な苦痛を補償するためのものです。不貞行為は原則として2人による共同不法行為と考えられるため、配偶者と浮気相手の双方が責任を負う立場にあります。
共同不法行為者は「連帯」して責任を負う
共同不法行為の場合、加害者は被害者に対して連帯して損害賠償責任を負います。これは、被害者側から見れば、加害者のうちどちらか一方に対して、損害額の全部を請求できることを意味します。つまり、浮気相手一人に対して、慰謝料の全額を請求することが法律上可能になる仕組みです。
配偶者の関与度合いは考慮されるが「請求先の自由」は変わらない
実際の事案では、浮気相手が既婚者であることを知っていたか、関係を主導したのはどちらかといった事情によって、最終的な負担割合の判断に差が出ることがあります。しかし、これらの事情はあくまで内部的な負担割合の問題であり、被害者がどちらに請求するかという選択の自由には影響しません。
慰謝料の「二重取り」はできないという原則
浮気相手だけに請求できるとはいえ、慰謝料額そのものが増えるわけではない、という点は非常に重要です。
損害額は一つ、支払う人が複数いるだけ
たとえば慰謝料が300万円と評価される事案において、「配偶者から300万円+浮気相手から300万円=合計600万円」と受け取れるわけではありません。損害額が300万円であれば、2人から受け取る金額の合計が300万円になるのが基本的な考え方です。
誰から受け取っても損害額の合計は変わらない
これは、慰謝料が「受けた精神的苦痛に対する補償」であり、加害者の人数によって被害の大きさそのものが2倍、3倍になるわけではないという考え方に基づきます。請求先を浮気相手だけに絞ったとしても、受け取れる上限額の考え方自体は変わりません。
「浮気相手だけに全額」という請求は可能
一方で、請求先については、浮気相手だけに300万円を請求することも、配偶者だけに請求することも可能です。二重取りができないというのは「合計でいくらまで受け取れるか」の話であり、「誰にどう請求するか」を制限するものではありません。この違いを正確に理解しておくことが、その後の交渉方針を立てるうえで重要になります。
- 損害額(慰謝料の総額)は一つに定まる
- 配偶者・浮気相手のどちらから受け取っても、合計は損害額を超えない
- 請求先を一方に絞ること自体は可能
請求先は選べる一方で注意したい「求償権」
ここまでの内容だけを見ると、「浮気相手だけに全額請求すればよい」と考えてしまいがちですが、実務上はもう一段階、重要な論点があります。それが「求償権」です。
求償権とは何か
求償権とは、共同不法行為者のうちの一人が、自分の負担割合を超えて損害賠償を支払った場合に、その超えた部分について、他の加害者に対して支払いを求めることができる権利です。たとえば浮気相手だけが慰謝料の全額を支払った場合、その人は、自分の負担割合を超えて支払った部分について、もう一方の当事者である配偶者に請求できる場合があります。
負担割合は「必ず半分」とは限らない
責任割合が同じなら半分というケースも考えられますが、必ず半額になるわけではなく、不貞関係が始まった経緯や主導した側がどちらか、婚姻の事実を知っていたかどうかといった事情によって、具体的な負担割合は変わります。そのため、求償される金額もケースごとに異なります。
求償権は浮気相手側の「権利」である
重要なのは、求償権は慰謝料を支払った浮気相手側に発生する権利だという点です。被害者側がコントロールできるものではなく、浮気相手が実際に求償権を行使するかどうかも、基本的には浮気相手の判断に委ねられます。
求償権によって起こりうること
求償権の仕組みを踏まえると、「浮気相手だけに請求する」という選択が、必ずしも配偶者に一切の負担をかけない結果にはならない場合があることが見えてきます。
結果的に夫婦・家族の財産から支出が生じる可能性
浮気相手だけに慰謝料を請求できたとしても、その後、浮気相手から自分の配偶者に求償されれば、結果として夫婦・家族の財産からお金が出ていくことがあります。特に離婚せず夫婦関係を継続する場合には、依頼者にとって実質的なマイナスになる可能性があります。
「配偶者に請求したくない」という意図とずれる結果になることも
配偶者への直接請求を避け、浮気相手だけに責任を取らせたいという意図で交渉を進めたにもかかわらず、後日、求償という形で配偶者の財布からお金が出ていくのでは、当初の目的と結果がずれてしまいます。感情面でも、こうした展開は依頼者にとって望ましくないケースが多く見られます。
家計が一つである以上、影響を完全に切り離すのは難しい
夫婦関係を継続する場合、家計は基本的に一体として運用されていることが多く、求償によって配偶者個人の財産が減れば、間接的に家庭全体の家計にも影響が及びます。「浮気相手だけへの請求」を選んでも、家庭内での経済的な影響を完全に切り離すことは難しいという前提を持っておく必要があります。
浮気相手だけに全額請求する方針を取る場合でも、求償権の存在を踏まえずに進めると、結果的に配偶者側からもお金が出ていくことになりかねません。請求方針を決める前に、求償の可能性まで含めて検討することが大切です。
求償権を踏まえた示談交渉のポイント
求償によるリスクを完全になくすことは難しいものの、示談交渉の工夫によって影響を抑える方法があります。
「求償権を放棄すること」を条件とする交渉
こうしたケースでは、示談交渉の際に「求償権を放棄すること」を条件として交渉する方法もあります。浮気相手が慰謝料を支払う代わりに、配偶者に対する求償権を行使しないことを合意書に明記できれば、配偶者側への波及を防ぎやすくなります。
示談書・合意書に明確な条項として盛り込む
求償権の放棄は口頭の約束だけでは十分ではなく、示談書・合意書に明確な条項として記載しておくことが重要です。将来的なトラブルを避けるためにも、専門家の関与のもとで書面を作成することが望まれます。
示談内容は「金額」だけで判断しない
示談交渉というと慰謝料の金額にばかり目が向きがちですが、求償権の扱い、支払方法、接触禁止条項、口外禁止条項など、金額以外の条件も最終的な結果に大きく影響します。求償権の扱いまで含めて示談内容を検討することが重要です。
| 示談条件の項目 | 確認しておきたいポイント |
|---|---|
| 慰謝料の金額 | 損害額全体との整合性、分割か一括か |
| 求償権の扱い | 放棄条項を明記するかどうか |
| 接触禁止条項 | 配偶者・浮気相手双方への接触制限 |
| 口外禁止条項 | 第三者への口外・SNS投稿などの制限 |
浮気相手だけに請求する前に知っておくべきこと
請求方針を決める前に、法的な仕組み以外にも押さえておきたい実務上のポイントがあります。
証拠がなければ請求自体が難しくなる
浮気相手だけに請求する場合であっても、不貞行為の事実を示す客観的な証拠は不可欠です。証拠が不十分なまま請求を進めると、浮気相手側から事実関係を否定され、交渉が難航する原因になります。
時効の問題を意識する
不貞行為による慰謝料請求権には時効があります。発覚から時間が経過するほど、証拠の収集や交渉が難しくなる傾向があるため、方針を検討する段階で時期についても意識しておく必要があります。
配偶者との関係継続を前提にするなら、感情面の整理も重要
離婚せずに夫婦関係を続ける前提で浮気相手だけに請求する場合、法的な手続きと並行して、配偶者との関係をどう立て直していくかという感情面の課題も残ります。請求方針は、法律面だけでなく今後の夫婦関係のあり方も含めて検討することが望ましいといえます。
「離婚するつもりはないが、浮気相手だけには責任を取ってほしい」というご相談では、証拠収集の段階から、最終的に求償権がどう扱われるかまで見据えて方針を検討するケースが多く見られます。請求先を決める前の情報整理が、後々の結果を左右する重要な工程です。
探偵・弁護士に相談する重要性
浮気相手だけへの慰謝料請求は、法律上は可能でありながら、二重取りの禁止や求償権といった専門的な仕組みが絡む、実務上は判断が難しいテーマです。
探偵に依頼する意味:証拠収集の専門性
不貞行為の証拠は、請求方針を問わず必要不可欠な土台です。探偵による調査では、法的に有効性の高い証拠を計画的に収集できる点が大きなメリットになります。
弁護士に相談する意味:請求方針・求償権の見極め
証拠収集だけでなく、その後の慰謝料請求や求償権、示談条件については、弁護士にも相談しながら慎重に進めることが重要です。請求先の選び方や示談書の条項設計は、法的な専門知識が求められる領域です。
探偵と弁護士、両方の視点を組み合わせる
証拠収集の段階から弁護士と連携できる体制を整えておくことで、「証拠は取れたが請求方針で失敗する」といった事態を避けやすくなります。Legal Hawkでは、調査の初期段階からこうした将来の請求方針まで見据えたご相談を承っています。
証拠収集と請求方針の検討は、切り離して考えるのではなく同時並行で進めるのが理想です。証拠が固まってから方針を考え始めると、時効や交渉のタイミングを逃す原因になります。調査の初期段階から弁護士と連携できる体制を整えておくことが、結果的に希望に近い解決につながります。
よくある質問(FAQ)
浮気相手だけに慰謝料を請求することは法律上可能ですが、慰謝料には二重取り禁止の原則があり、また浮気相手が全額を支払った場合には配偶者への求償権が生じる可能性があります。求償権を踏まえずに請求方針を決めると、配偶者に請求しないつもりでも結果的に家庭の財産に影響が及ぶことがあるため注意が必要です。示談交渉では求償権放棄などの条件も含めて検討し、証拠収集の段階から探偵・弁護士双方の専門的な視点を取り入れながら、慎重に進めることが大切です。

